君の名は? 尋ねし彼の 御心に その手重ねて 月色の丘へ

お化けなんて いないさ

お化けなんて ウソさ

 

 

 

 

正解!

誰なんだろうね、この名曲を作ったのは。

まったくもって同感だよ、

お化けなんていないんだよ。

第一、いたとしたら何か失礼じゃないかい?

よく知りもしないくせに一

方的に怖がるなんてさ。

 

 

 

 

「ここに霊の存在を感じます。

 おそらく生前に強い未練を残したまま、

 この場所から離れられないのでしょう。」

歪んだ夏の風物詩、

TVでのたまう似非霊媒師の耳タコセリフ。

 

 

 

本当に未練や後悔があるのなら、

その場所に留まることなんて出来るはずはない。

再びその地を訪ねることが出来るのは

完全に過去の出来事として

空を見上げることが出来る様になった者だけだ。

 

 

 

まあ、そんなこんなで

お化けなんてものはいないのさ。

ただし、妖怪についてはどうだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

20年も前のことになるのか、

遠野に向けて旅に出たのは。

ナップザックに詰まっていたのは

夢や希望なんかじゃない。

¥198のキュウリ1パックと釣り竿が1本。

 

 

 

 

釣果は当然、坊主。

そりゃピンクのソフモヒが真冬の河童淵で

タバコふかしながら釣り糸垂らしてりゃ

河童どころかダイダラボッチだって逃げ出すよな。

近づいてくるのはポリスマンだけ。

 

 

 

ポ「キミ~何してるのかな?」

僕「いや~ちょっと河童でも釣ろうかと・・・・」

ポ「そっかー、身分証見せてもらってもいいかい?」

 

 

 

国家権力の犬なんて揶揄しちゃダメだよ。

彼らのこういった小さな積み重ねが

治安大国日本を形作っているんだからね。

っつーか僕でも職質かけるよ。

 

 

 

 

 

といった訳で河童には会えずじまい

だったんだけど妖怪の存在は信じてるんだ。

 

 

 

 

少しだけ悲しいお話にはなるけれど。

 

 

 

 

 

妖怪の起源や謂れについては

色んな学者先生達が諸説講じているから

その点については省略しようと思う。

 

 

 

僕が思うに、

人々の中で異形の風貌をした存在が

疎まれ、蔑ろにされ、貶され、恐れられ、

やがて妖怪として語り継がれる様に

なっていったんだと思う。

 

 

 

例えば、

ぬらりひょん」や「ろくろ首」

なんかは奇形の一種、

「座敷童子」は発達障害であったのでは?

 

 

 

僕が知るところである

座敷童子に関する情報は

①夜、寝ていると一緒に遊ぼうと現れる

②座敷童子がいる間はその家は栄え、

 去った後には衰退する

        といったところだ。

 

  

 

上記の情報から

座敷童子発達障害を有した子供である

ということが匂ってくる。

 

 

 

昔は今と異なり、

働き手としての能力が無いものは

口減らしの対象とされるケースがあった。

障害を有していれば、当時は

労働力として換算出来なかったであろう。

 

 

 

 

それでも口減らしの対象とされずにいたのは

裕福な家の子供であったからではないだろうか?

②の本当の意味は、働き手に該当しない者も養え、

養えなくなるほど経済状態が悪化すれば…

これ以上は書くに堪えない。

 

 

 

 

 また、言い方は非常に乱暴になってしまうが

当時は働き手になれぬ者は一族の恥、みたいな

風潮もあったのでは?

 

 

 

だからこそ表には出さず、

屋敷の中で生活させる。

概日リズムは狂い昼夜逆転が起こる。

遊び相手のいない彼女は、夜な夜な

宿泊している来客に語り掛ける。

「一緒に遊ぼう。」

 

 

 

妖怪の中で幸せのシンボルと称される

座敷童子の物語でさえ、

どこか一片の切なさを感じてしまう。

 

 

 

しょうがないとは思うんだよ。

未知なるものや自分達と違ったものに対し

警戒心を持つことは。

生存本能からくるものだから。

 

 

 

 

少しだけ悲しいって言ったのは、

本能的な恐怖心に負けてしまって

自分とは違う存在を受容出来ないだけに

止まらず嘲笑の対象にまで貶めてしまう、

弱い人間の醜さが「妖怪」の存在から

垣間見えてしまうこと。

 

 

 

ある作家が作中にてこう述べている。

 

「人は未知なる存在を恐れる。

 恐れを克服する方法は一つ。

 名付ければ良いのだ。

 名前を与えられた瞬間、

 未知なるものは未知でなくなるから。」

 

 

 

 

 

 

いつの日かまた、遠野に行ってみようと思う。

「良かったら名前聞いてもいいかな?」

座敷童子をナンパしに。

狭い座敷を飛び出して 月灯りの下

一緒に茶でもすするとしようか。

 

 

 

 

遠野には別に未練なんて残していないからね。

残っているのは職質の記録ぐらいなもんだ。

 

 

   

  

 

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