いくつの仮面打とうかい?

 

 

 

 

いい加減、勘弁して頂けないだろうか?

病欠時くらいは静かに寝かせてくれ。

「安静」って言葉の意味知ってるのか?

「馬鹿にすんな、それくらい知ってる」だと?

 

 

 

 

だったら安静が必要な病気のオジサン相手に

朝も早よから仕事関係のLINEを送るな。

言葉と行動が伴っていない。

もう一回言ってみろ!An , What's you Say ?

 

 

 

 

毎度、毎度、トラブルばかり起こしやがって。

各方面に頭を下げ下げ、報告、調整、後始末。

やっと沈静化したな、一息つける、

と思った途端にオカワリ1丁。

居酒屋よろしく

「生1丁!」のノリは止めてくれ。

「よろこんで~♪」ってなるかボケェ!

 

 

 

 

わんこそば屋のお姉さんだって

もう少し手加減してくれたもんだ。

あれか?

「わんこ」と「ワンコ」をかけてんのか?

所詮、お前は会社の飼い犬だってか?

 

 

 

 

今日のワンコは、

あれ程、『流行物には乗っからねぇ。』

ヒル気取って、斜に構えたつもりでも

ちゃかり流行のインフルにかかちゃった

オスのD君です。社畜の首輪が似合ってますね。

 

 

  

 

目覚ましTV代わりに午前中から

ポコピン、ポコピン。

新着メッセージが「私を見て見て!」

自己顕示欲の猛アピール。

 

 

 

 

「見た、見た。すごいね、大変だー。

 僕のも見てくれるかい?この体温計。

 数字読めるかなー?これ?これはね

 38.5℃って読むんだよ。意味かい?

 そうだねー、一言で言うとね、

 静かに寝かせてあげましょうね、

 って意味なんだ、ちょっと難しかったかな?」

 

 

 

 

スマホに向かって皮肉を浴びせつつも

アプリを開き、現実と向き合う。

 

 

 

 

「ちょっと問題が起きまして・・。」

「どうしたらいいでしょう?」

「これでいいですか?」

 

 

 

 

っつーか、休みの時ぐらい、

現場で対処しろ。事後報告で構わない。

どうせ尻拭いをすることに変わりないのだ。

on-offの切り替えくらいはさせてくれ。

 

 

 

 

仕事とプライベートは完全に切り離したい。

加えて言えば、君達とは距離を置いて

付き合いたい。グループラインのお誘いを

頑なに固辞している時点で察して欲しい。

勘違いさせてしまっているのだろうか?

 

 

 

 

別に嫌いって訳じゃないんだ。

ただ、職場の僕はあくまで僕じゃない。

そんな存在に好感を寄せられても

嬉しく思う反面、罰の悪さを感じてしまう。

 

 

 

 

職場で作る表情と

気の置けない仲間に向ける素顔は別物なのだ。

柔和なオジサンの雰囲気は作り物。

その正体は「人畜無害の鬼畜野郎。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「子供じゃなけりゃ誰でも

     2つ以上の顔を持っている。」

  <サラリーマン~忌野清志郎~>

 

 

 

 

度が過ぎて診断名がつかなきゃ

誰だって似たようなもんさ。

相手に合わせて自分を変えなきゃ

いけない時もある。

 

 

 

 

会社での顔、友人といる時の表情

恋人だけに見せる笑顔。

どれが本当の自分なんだろう?

愚問なのは解っている、でも、

考えずにはいられなくなる夜もある。

 

 

 

 

人間は2面性を持つ生き物ではなく

多面体の様な存在。

同時に数種類の表情が浮かんでも

何ら不思議なことではない。

 

 

 

 

それでも仮面を付け替えるのに

ほんの少し疲れてしまうこともある。

他者との共存や共栄、調和に

重きを置いた結果として生じる

自身の望まない変化に

気がついた時にはもう手遅れ。

朱に交わればなんとやら、だ。

 

 

 

 

自分自身に対し気付かぬ振りを

続けていても、感情と思考の使い分けに

何処となく後ろめたさの様なものを感じ、

目の前のことすべてが馬鹿らしく思える、

そんな日は必ずやってくる。

  

 

 

 

だからこそ 

日常の喧騒から距離を置き

窮屈な仮面を放り投げ、

素顔のままで過ごす時間が

何より大切になってくる。

 

 

 

 

自分のことが嫌いになって、

自身のことを傷つけてしまう、その前に。

 

  

 

 

朱に交わるのも別に悪くはない。

仮面を着けずに向き合って

頬が真っ赤に染まるのならば。

それはきっと、幸せの茜色。

 

 

 

そんな相手と過ごしていたい。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしたんだい?」

「その件は復帰したらやっとくから。」

「心配しないで仕事に戻りな。」

 

迅速に対応し頼れる男を演じきる。

病床にても、やっぱり仮面は外せない。

頬が赤らむのは熱のせい。

幸せ色ではなく、皺寄せ色々、疲れた。

 

 

 

仮面より今はこっちが必要か、

気疲れと高熱に倒れる男は

マスクをつけて再び眠りにつく。

自分を好きになれる日は、

当分、先になりそうだ、そう思いながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰かに愚痴りたかったが為に、

体調不良を省みず、無理やりに書き殴る。

また無駄な時間を過ごしてしまった、

と思うも転んでもタダでは起きぬ主義。

 

 

 

 

グッチ裕三の芸名の由来が「愚痴言うぞ」

モジったものと今、気がつく。ユリイカ

 

 

 

 

タダでは無いものの、得たものと言えば

安っぽい豆知識一つ。

「割りに合わないな」と、

思う気持ちを無理矢理に割り切る。

 

 

 

 

そして無駄な時間を過ごした感を

迂闊にも読んでしまったアナタと割り勘。

 

 

 

 

 

 

 

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