Maple syrup in pot of gold.

 

 

 

 

来る日も来る日も、拳を前に突き出す。

途切れることなく、何度も何度も。

「一撃必殺」未だその片鱗さえ掴めずとも、

一つの業を磨き続け、頂きを目指す。

 

 

 

 

切っ先が描く軌跡には微塵のズレも

見当たらぬかの様に映る。

「心剣一如」その境地に至るまで、

振り下ろす剣の音が止むことはない。

 

 

 

 

例え、その道がどんなに険しく、

果ての見えない旅路だとしても、

その歩を止めることは決してない。

思い描く幻影と己の姿が重なる日まで。

 

 

 

 

武道を嚙った者の端くれとして、

先人達が人生を懸けてまで、己が理想を

追い求め続ける崇高な志には共感を覚える。

だが、理想の追求は武道のみには留まらない。

 

 

 

 

人は皆、理想という概念を抱き生きている。

手中に収めるものが各人異なる要因は

追い求め続けるか、否か。違いはそれだけ。

但し、理想通りの結果を掴むことは奇跡に近い。

 

 

 

 

仕事、結婚、生き方。理想を掴めずとも

妥協したり現状を理想と捉えることで

欲求を満たしている、そんなケースは多い。

それは決して悪いことなんかではない。

 

 

 

 

「幸せを手に入れるんじゃない。

    幸せを感じることの出来る心を

    手に入れるんじゃ。」

                           ー甲本ヒロト

 

 

 

 

求道者が幸せであるとは限らない。

追い求める旅路の中、失くしたモノは何?

本当に大切なことに気が付けなかったのでは?

見上げれば青い鳥は頭上の空を舞っていた。

 

 

 

 

しかし、満たされていると感じる一方で、

頭の片隅では忘れ去ったはずの理想の鼓動が

囁き続けている。ふとしたキッカケで

誰しもが一度は覚える感覚だ。

 

 

 

 

逃れられない運命、人の性とでも云うべきか。

思い出した理想を再び求めだすこと、

これは意思の問題ではなく不可避な事象。

だから、僕が流行に乗っかってパンケーキを

食べ漁ったのも自然なことであったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

流行病にかかれども、未だ流行物に対し、

斜に構える姿勢は変わっていないはず。

 

 

 

タピオカだぁ?数珠にして念仏でも唱えとけ!

ナタデココぉ?新鮮なイカ刺しに勝てんのか?

ワッフル?ワンダフルだよ、ダーリン!

パンナコッタ?・・・君は、まぁいっか。

 

 

 

そんな僕でもパンケーキには敵わない。

即、白旗。今更とかは言わないプロミス。

 

 

 

 

何故にパンケーキだけ特別なんだろうか?

自問自答するまでもない。解りきったこと。

我々は洗脳に近い刷込みを受け育ってきた。

犯人は二匹の野ネズミ。グリ&グラ。

 

 

 

 

正しくはパンケーキではなくカステラ。

だが、多くのキッズはアレをホットケーキと

認識していた、僕もその一人だ。

二匹が焼くは僕らの理想、夢そのもの。

 

 

 

 

あの絵本を読んですぐさま、

お母さんにお願いしたはずだ。

「次の日曜にはホットケーキが食べたい。」

そして一口食べ思う、「これじゃない。」

 

 

 

 

現実と理想の乖離に容赦なく

打ちのめされる初めての経験だ。

幼少時に植え付けられた夢の様な

パンケーキ像を拭うことは容易ではない。

 

 

 

 

雲が如きフワフワ感、雪の様な口溶け。

程よい甘みと濃厚な卵の風味。

パサパサ感は微塵も感じられず、かと言って

しっとり感が強く主張する訳でもない。

 

 

 

 

考えてもみてくれないか?

もし、アレにミルクのフレッシュさを

残したままのホイップとほんの少しだけ

カカオの苦味を内包したチョコシロップが

添えられていたとしたら。

 

 

 

 

究極、至高、そんな言葉ですら霞んでしまう。

山岡だって雄山だってまっしぐら。

と、あくまでこれは僕らが描く理想像の話。

様々なパンケーキを食したが未だ満たされず。

 

 

 

 

TVで紹介された厚めのモノもイイ線止まり、

埒があかぬと自作に取り掛かり、試行錯誤を

繰り返すもこれまた道のりは険し。

とち狂って山芋だの豆腐だのを試しだす始末。

 

 

 

 

今でもG&Gパンケーキの理想の味には

辿り着けず、その幻影を追い続けている。

でも、それで良いのかも知れない。道を只管に

歩むこと自体、魅力的な行為であるのだから。

 

 

 

 

もし、理想の味に巡り合うことが出来たとしたら

僕の旅はそこで終わりを告げるだろう。

そして、それは初めて理想と対面した時の

衝撃や感動にサヨナラを告げることを意味する。

 

 

 

 

理想に辿り着いた時、感動の向こう側には

何が映るのだろうか?永遠の幸せが見える?

きっと新たな理想像が浮かんでくるのではないか?

旅路は終焉の気配を見せず、

歩み続けることを強いられる。

 

 

 

 

それを苦行と呼ぶ人もいるであろう。

だからこそ、スイーツ界における流行の

栄枯盛衰は目まぐるしいのではないか?

道は一つではない、そう悟すかのように

口の中には優しい甘さが広がっていく。

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あんだけ流行物を小バカにしてたのに 

結局、どっちなの?肯定派?否定派?

そう言われては返す言葉もないが、

少し落ち着いて話を聞いて欲しい。

 

 

 

 

 「甘い物は別腹」そう言うだろう?だから

二枚舌にて味わっても何ら不思議はないだろ?

甘味の話なんだから少しは甘目に見て欲しい。

これが本当のお粗末様でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こんな話を綴っていたら甘い物が欲しくなった。

 そうだ、ティラミス食べよう。

Make me High !

 

 

 

 

 

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