20 times ago

残業 残業 残業 残業

残業 残業 残業 残業

DIO様宜しく延々続く残業DAYS。

DAYSをつけるだけで下北風味。

 

 

 

「やってられっかー!」

フロアにこだまするは残響。

I don't have THE WORLD.

僕に時は止められない、この量は無理。

 

 

 

それでもやり通すは負けない社畜魂。

レッドブルにてドーピング。

5本目以降は数えちゃいない。

その背に無数の翼を携え、向かう先は何処?

 

 

 

意地と負けん気、眼前ニンジン明日は休日。

Fly awayでHeavenへGoしかけたものの

這う這うの体で完遂し家路を辿る。

すぐさまソファでDrinkin' & Dreamin'

 

 

 

久しぶりに見れた覚め難い夢と

せっかくの休日の始まりは

無慈悲なコールにて邪魔される。

 

 

 

「Dさん、お休みのところすいません。

 研修資料の件なんですけど・・・」

 

 

 

最初に詫び入れから始まったことで

死刑は勘弁してやる。

が、その件はお前がやるといったから

まかせた件だ。しかも期日前には必ず

仕上げて提出するよう、念を押したはず。

 

 

 

まったく、嘆かわしいものだ。

今の若い者は約束を簡単に違えやがる。

 まだ早いかな~と思っていたが

「出来ます。やらせて下さい」

この一言を信用したのにがっかりだ。

 

 

 

台無しにされた休日のスタートに

少々苛立ちを覚えたせいか、

キツめの口調にて指示を出し電話を切る。

待ち受け画面に表示された日時を見て冷や汗。

 

 

 

 

 待ち合わせの時刻が過ぎてしまっている。

しかもとうの昔に。

 

 

 

 

とりあえず1本目のタバコに火を灯し、

溜息と共に煙を吐き出す。

今から支度をして出かけたとしても

すでに3時間を超える大遅刻。

 

 

 

「よし、とりあえずは寝よう。」

げに恐ろしきは冬場の毛布の魔力。

タバコをもみ消しゆっくりと横になる。

夢の続きを求め二度寝へGo。

 

 

 

まあ、どうせ待ってやしないさ。

3時間を超えるとは言ったものの

言葉足らず。

正確には10年と3時間少々なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

20年前の今日、

僕とAは某観光スポットへと出かけた。

Aの誕生日であったので

何か記念になることをと

北風に逆らい自転車を走らせた。

 

 

 

目的は「10年後の自分へ」

自分へのメッセージを書いたら

保管してくれており10年後に

開封できるというヤツだ。

別名、時限式トラウマ製造機。

 

 

 

まあ若気の至りというものは恐れ知れず、

どんな内容を書いたか覚えていないことは

幸いだということにしておこう。

 

 

 

各々がメッセージを書き終え、

喫茶コーナーにて暖をとる。

僕はコーヒー、Aはミルクティー

凍えた体に染みいるホットドリンク。

 

 

 

A「いや~、あれだね。無茶、寒すぎ。

  凍傷になるかと思ったよ。誰だー、

  こんなとこ来ようって言ったのは。」

 

突っ込み待ちの振りはスルー。

外は寒いし僕は冷たい。

 

僕「マジで寒いね、舐めてたわ。

  地図で見ると行けそうだけど遠いわ。

  疲れたー、Aもよくついて来れたな。」

 

A「体育会系ですからね。見よ、この筋肉。」

 

セーターを捲り、力こぶを作ってみせる。

 

A「あー、こんなんバカなことしてるから

  ガサツって言われるんだ。

  おしとやかになって彼氏作りたいー。」

 

 

所作よりむしろ歯に衣着せぬ物の言い方

の方が問題なのでは?と思ってはいたが

今日はAの誕生日。言わぬが花のプレゼント。

 

 

A「ところで何て書いたの?

  可愛いお嫁さんと子供たちに

  囲まれ幸せですか、とか?」

 

僕「ちょっとお姉さん、

  一緒にしないで頂けます?

  もっと高尚なことを書いてます。」

 

A「自分だって彼女いないくせに。

 大事なことだよー、お嫁さんいなかったら

 孤独死コースだよ?」

 

僕「まあ、そうだよなー。

  お互いがんばろうな。

  ところでAは何て書いたの?」

 

A「内緒。こういうことって

 教えることじゃなくない?」

 

お前から聞いてきたクセに、

と表情には出したものの言葉にはせず。

プレゼントはさっき渡したので貸し1。

 

A「じゃあさ、一緒に開けて

  見せ合いっこしようよ。

  10年後の今日。」

 

僕「面白そうだけど、10年たっても

  バカなことするつもりかよ、

  そんなんじゃ彼氏はまだしも

  お嫁にも行けないぞ。」

 

A「そん時はお嫁に貰ってよ。

  ベンツで迎えに行くからさ。

  あたし官僚になってるだろうから。」

 

僕「10年後もお互い一人だったらな

  っつーか逆じゃね?迎えに行くの。」

 

軽い冗談にガラにもなく照れてしまい

普段通りの気の利いた返しが出来ず、

少し動揺している僕を見て

笑いながらAは小指を差し出した。

 

A「約束。」

 

Aの手は思っていたより小さく

女の子なんだって初めて感じた。

多少照れ臭かったが僕も小指を差し出す。

小学生以来であろう指切り。

そして最後の指切り。

 

 

 

 

 

 

「約束」

 大人になると約束を交わすことは少なくなっていた。

気が付けば「契約」や「誓い」ばかりが目の前に。

でも僕は「約束」のフワッとした感じが好きだ。

 

 

 

「義務感」ではなく「したいから」

願望に近い行動原理が好きだ。

果たされないことも多いが、

約束が叶った時は嬉しいことこの上ない。

 

 

 

約束が果たされるまでの時間も楽しい。

プレゼントの箱を開ける前の

ワクワクする気持ち、あの感覚に似ている。

例え叶わなくても、誰かと約束すること自体が

大事な宝物が一つ増えるということなのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

子供と大人の狭間にいたあの頃の僕ら。

少し照れながらも交わした指切り。

いつの間にか遠い記憶の出来事になり

懐かしい思い出へと姿を変えていた。

 

 

 

Aもあの時の約束は忘れているだろう。

でも、ふとした時に思い出し、

懐かしく想ってくれていれば。

何かいいな、って。

こそばゆく少し嬉しい感じ。

 

 

 

せっかく思い出したんだ。

来年の今日、あの場所に行ってみるか。

10年も遅刻したんだ。

もう1年くらい誤差の範囲だろう。

 

 

 

まあ、指切りしてしまった以上は

ハリセンボンのようにふくれっ面した

Aに10000発殴られるのは覚悟しておこう。

 

僕「幸楽さん?ラーメンと餃子2人前ずつ。」

A「角野卓造じゃねーよ、

  っつかそっちのハリセンボンじゃねーよ。」

 

こんなノリ突っ込みぐらいは期待してもいいよね。

今度はスルーしないからさ。

  

 

 

にほんブログ村 小説ブログ ショートショートへ
にほんブログ村

にほんブログ村 その他日記ブログ たわごとへ
にほんブログ村